痔ろう(痔瘻)・肛門周囲膿瘍

王子クリニックでは京都の肛門外科の中でも痔の日帰り手術・治療を行っています。
痔ろう(痔瘻)・肛門周囲膿瘍は男性に多い痔です。
肛門周囲膿瘍ができて、進行すると痔瘻(じろう)になります。

原因

肛門陰窩から細菌が入り込むと、肛門腺が化膿し、その炎症が肛門周囲に広がって膿瘍になります。肛門周囲膿瘍
これが自然に破れるか切開することにより、膿が排出されます。
70%はそのまま治るといわれますが、30%は膿の管が残った状態になります。
これを痔瘻といいます。
ストレスやアルコールの摂取などによる下痢が原因であると考えられています。痔瘻は軟便や下痢に多くみられる傾向にあります。

原因

肛門陰窩から細菌が入りこむ

原因

肛門周囲膿瘍肛門腺の炎症が広がり、膿がたまってくる

原因

痔瘻:二次口から膿が排泄されるが、原発口に通じる瘻管が残る

痔瘻の症状

38~39度の発熱、激しい痛み、腫れがみられます。痔瘻は、膿が出て下着が汚れます。
膿の出口がふさがり、再び膿がたまると、肛門周囲膿瘍と同様の症状になります。

分類

痔瘻は瘻管の伸びる方向により分類されます。

低位筋間痔瘻

分類

内括約筋と外括約筋の間を下に伸びる。痔瘻の6割を占める。

高位筋間痔瘻

分類

内括約筋と外括約筋の間を上に伸びる。二次口がないため、排膿されない。痔瘻の1割にみられる。

坐骨直腸窩痔瘻

分類

外括約筋を越えて肛門挙筋のほうまで伸びる。肛門の後方を複雑に走行する。痔瘻の3割にみられる。

骨盤直腸窩痔瘻

分類

肛門挙筋の上に伸びる。直腸狭窄をおこしやすい。ごくまれ。

肛門周囲膿瘍の治療

肛門周囲膿瘍は、抗生物質や鎮痛剤を内服しても良くなりません。
たまった膿を切開して外に出すことで速やかに症状はとれます。
当院では、切開時の痛みをできるだけ和らげるために、下記のような工夫をしています。

  1. あらかじめ局所麻酔入りのゼリーを塗布します。
  2. 局所麻酔の針は細いものを使用しています。
  3. 麻酔薬はできるだけゆっくりと注入します。
  4. 切開後には、鎮痛坐剤をいれます。

なお、切開当日はシャワーのみとし、翌日から入浴は可能です。

痔瘻の治療

手術療法

切開開放術

切開開放術

瘻管の原発口から二次口までを切開し、そのまま縫合しない手術です。瘻管が肛門後方部であれば、肛門括約筋を切除しても肛門の機能には影響なく、再発も少ない方法です。

括約筋温存術

括約筋温存術

原則的に瘻管の二次口からくり抜き、瘻管を切除する手術です。肛門の変形や機能障害を最小限に留めるため、肛門括約筋をなるべく切断せず、傷つけないように行う方法です。肛門の左右あるいは前方の低位筋間痔瘻に適応です。

シートン法

シートン法

瘻管の原発口から二次口へ、ゴム紐や糸(絹糸)などを通して縛り、 時間をかけて瘻管を開放する手術です。瘻管の遮断が進む一方で開放創が修復するので肛門の変形・機能障害が少ない方法。