痔の治療のご案内 | 京都府向日市の医療法人集裕会 王子クリニック | 痔核 裂肛 痔瘻

京都府向日市森本町下森本9-1

痔の治療のご案内

痔とは

痔は、肛門と肛門周囲の病気の総称です。
直立歩行をする人間には、宿命ともいえる病気です。人のおしりは四つ足の動物と違い、心臓より低い位置にあるので、うっ血しやくなっています。
症状がない人も含めると、3人に一人は痔を患ったことがあるといわれています。

痔は次の3つのタイプがあります

痔核(じかく)
肛門に強い負荷がかかり、直腸肛門部の血行が悪くなり、肛門を閉じる役割をするクッション部分が一部腫れあがります。内痔核と外痔核があります。
裂肛(れっこう)
硬い便や下痢によって肛門が切れることです。
肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)・痔瘻(じろう)
直腸粘膜と肛門皮膚との境目(歯状線)のくぼみから細菌が入り、膿がたまり、膿がでた後に肛門内部とつながる管が残っている状態。

おしり・肛門の解剖

痔の症状と構造
  • 歯状線(しじょうせん):直腸粘膜と肛門皮膚の境目
  • 肛門括約筋(こうもんかつやくきん):肛門を閉じる働きをする筋肉。内括約筋と外括約筋がある。
  • 静脈叢(じょうみゃくそう):静脈が網目状に広がっているところ。

痔の男女別発生頻度

痔の中で半数以上は痔核です。痔核は男女差がないですが、裂肛は女性に多く、痔瘻は男性に多くみられます。

グラフ:痔の男女別発生頻度

痔核

内痔核(ないじかく)
内痔核歯状線より直腸側にできた痔核のこと。痛覚のない粘膜にできるので、通常痛みはなく、はじめは出血を認めるだけですが、徐々に肛門外に痔核が脱出するようになります。そうすると外痔核を伴うようになるため、痛みがでてきます。初期の腫れや出血、痛みは薬で治まることが多いですが、痔核が頻回に脱出したり、もどりにくなったりすると手術などの治療が必要になります。内痔核は、上直腸動脈が枝分かれしたところ、肛門を時計にみたてると、3時、7時、11時にできます。
外痔核(がいじかく)
歯状線より外側の肛門上皮部の静脈がうっ血してできた血栓。痛覚のある皮膚の部分にできるので、強い痛みを伴います。通常痛み止めや軟膏で1週間ほどで楽になりますが、痛みが激しい場合は、血栓を除去することがあります。
原因
いきみの繰り返し、便秘、激しい下痢、重いものを持ったとき、長時間同じ姿勢を続けたとき、おしりや腰が冷えたときなどに、肛門に負担がかかり、クッション部分が腫れて大きくなります。そしてその腫れが大きくなると、肛門の外に脱出するようになります。
症状
排便したときに血が混じる、便が残った感じがする、痔核が肛門の外へ出ている、指で押し込まないと戻らないなど
分類
主な症状でⅠ~Ⅳ度に分類されます。
内痔核
Ⅰ度
  • 痔核は肛門管内で軽度に隆起するだけで、ほとんど脱出しない
  • 痛みはなく、排便時に鮮血の出血をする以外症状は乏しい
保存療法
薬物療法
注射療法
Ⅱ度
  • 痔核がより大きくなり、排便時に脱出するが、自然に戻る
保存療法
薬物療法
注射療法
Ⅲ度
  • 排便時に痔核が脱出し、手で押し込まないと戻らない
注射療法
手術療法
Ⅳ度
  • 痔核を手で押し込んでも戻らず、出たままの状態になる。
  • 粘液がしみ出て下着が汚れることが多い
手術療法
激しい痛みを伴う痔核
嵌頓
痔核
かんとんじかく
  • 痔核内に血栓が多くでき、嵌頓状態(脱出してもとに戻らなくなった状態)となったもの
  • 痔核が脱出した際に、脱出部が肛門括約筋で締められ、うっ血、浮腫、血栓をきたす
手術療法
血栓性外痔核 かんとんじかく
  • 肛門周囲に血栓がつくられ、急に腫れて硬くなったもの
  • 皮膚が破れて出血することがある
保存療法
薬物療法
手術療法
治療
基本は保存療法です。保存療法を行っても、症状が改善せず、日常生活に支障を来たすときは、外来処置や手術を行います。手術になる患者さんは、約2割です。
  • 保存療法
    食生活や排便習慣などのライフスタイルを見直し、できるだけ肛門に負担をかけず、症状を悪化させないようにする生活療法です。たとえば、食物繊維と水分、朝食をしっかりとることや、排便時にはいきまない、排便時間は3分以内などがあります。
  • 薬物療法
    坐薬は肛門に挿入しやすい紡錘型をした固形薬。塗り薬は肛門周囲に塗るタイプと注入するタイプがあります。坐薬も塗り薬も止血作用、痛み止めの作用があります。内服薬は、便をやわらかくして、肛門の負担を軽くしたり、炎症を抑える抗生剤や消炎剤などがあります。
  • 注射療法
    PAO注(パオスクレー)
    四段階注射療法(ALTA注)
  • 手術療法
    結紮切除・半閉鎖術:痔核に血液を送っている血管を縛り、痔核を切り取る手術です。痔核を切除したあとの創を縫います。注射療法に比べると、術後の痛みは少しありますが、手術方法と術後の内服薬等の工夫することで、痛みをコントロールできます。再発率は約1%で、根治術として優れています。当院では痛みを感じず、眠っている間に終わる日帰り手術で行っています。

手術の手順

手術適応
3度または4度の内痔核。
麻酔法:軽い全身麻酔+局所麻酔

【1】最初に心電図モニターを体に貼り、血圧計のカフを腕に巻きます。

【2】酸素マスクを装着し、同時に眠くなるお薬を点滴します。すぐに眠った状態になります。

【3】右側臥位の体位をとります。

【4】肛門の筋肉を緩めるため、局所麻酔薬を肛門部に細い針でゆっくり注射します。

【5】痛みを感じることなく、手術を受けることができます。

【6】手術が終わると、すぐに目が覚めるのでご安心ください。

手術方法

【1】肛門鏡を挿入します

【2】痔核を引き出し、皮下に局所麻酔薬を注射します(バルーンアップ)。

【3】紡錘形の皮膚ドレナージ創を作成するように切開を加えます。

【4】クッション部分をとりすぎないように、痔核の切除は多少切り込んでいくよう行います。

【5】歯状線から約2cm口側まで切除をすすめ、糸で根部を結紮し、痔核を切除します。

【6】確実に創部の止血を行い、粘膜断端を根部に近いところから吸収糸で数針結節縫合し閉鎖します。

【7】皮膚ドレナージ創は縫合しません(半閉鎖)。

【8】結紮切除は1か所10~15分です。

【9】3か所痔核切除をおこなうこともあります。

【10】出血がないのを確認します。

【11】鎮痛坐薬を挿入し手術を終了します。

術後の予定

【1】目が覚めたのち、看護師付き添いのもと、歩いて回復室に向かいます。

【2】回復室で点滴しながら安静にしていただきます。

【3】術後、定期的に血圧や呼吸状態の確認を行います。

【4】術後1時間で飲水、軽食をとっていただきます。

【5】看護師付き添いのもと、トイレ歩行していただきます。

【6】術後2時間で創部の出血など問題なければ帰宅できます。

【7】術後2~4日は自宅療養が望ましいです

【8】翌日には家事や買物、入浴は可能ですが、お仕事は休まれた方がよいです。

【9】内服鎮痛剤、軟膏を適宜使用していただきます。

【10】術後1週目は1~2回の通院していただきます。

【11】術後2~4週目は週1回の通院となり、その頃には痛みがやわらぎます。

  • 抜糸は不要です。
  • 傷が完治するのには1~2か月です。
  • 術後4週目頃までは出血をきたすことがあるため(1%)、遠方への旅行や激しい運動は控えてください。

当院における痔核治療方針

  • 生活指導と薬物療法が基本。
  • 出血が主症状
    +脱出なし:PAO注射
    +軽度の脱出あり:PAO注射
  • 脱出が主症状
    +外痔核なし:ALTA
    +外痔核あり:結紮切除
  • 嵌頓痔核:保存的療法後に痔核を評価、治療方針を決める
  • 血栓性外痔核:保存的治療で改善なければ、血栓除去または結紮切除

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